最後の診察日のこと

何度も通った病院への道のり。
今日はS先生の最後の診察日。
先生は暑さの中大変だから、紹介状は郵送しますと仰ってくれましたが、
会って先生から直接受け取りたかったのです。
会って私から直接言いたかったのです、ありがとうございましたと・・。

ハワイの夕日

 

診察室に入ると、そこには人懐こい笑顔のS先生。
4年前の初対面での光景がフラッシュバックします。

その笑顔は優しさだけでなく、
それ以上に厳しさを含んでること、
あの時は分からなかったこと、今では分かること。

「書いておきましたよ、紹介状」

「ありがとうございます」

「C先生なら大丈夫でしょう」

「こんな厄介な患者は嫌だと言われるかもしれませんよ?」

「C先生なら大丈夫。
チエさんにとってはこれが一番良いことです」

「先生ってどんな方ですか?」

「とても紳士だよ!
おしゃれだし優しいしね~」

「へぇ~S先生とは違うタイプなんですね~」
とつい思ったことがそのまま言葉になる。

「あ!おしゃれなのはS先生もそうですけどね~」
お世辞ではなくS先生は本当におしゃれではあるので、
そこはちゃんとフォロー。

「まぁどっちでも良いけど、何にしても良い先生です。
あなたを安心して任せられる・・」

「S先生がバトンを託せる先生だと聞いて安心です。
先生・・」

「ん?」

「今まで本当にありがとうございました」

「ん・・結局何も出来ず申し訳なかった・・」

「先生だからインターフェロン治療に一緒に挑んでくれたんですよ!」

「うん・・・確かにあれは無謀だった・・」

「だから私、あの時もし・・・という後悔だけはないんです。
やれることはやったから・・」

「うん・・これからも前だけを見ていきなさい!」

最後の言葉は生きなさい!というエールだと感じました。

「私、S先生と出会えたから、ちょっとは神経も図太くなれたと思います。
だからこれからも頑張ります!」

「もう十分頑張ってるけど、これからも頑張ってください!」

「はい!」

「先生、また会いに来ていいですか?」

「いいですよ。予約診療外になるから待たせると思うけどね。
それと、僕のペースで良ければだけどね?」

そう言いS先生はニヤリ。
でもそのニヤリには温かさを感じる。

「先生、これからのパワーを下さい!」

差し出した私の右手を握り返してくれたS先生の右手は、
ビックリするくらい、とても冷たかった。
でも、とても温かい気持ちが伝わってくる。

診察室を後にする時、振り返った私の目に映ったのは、
右手で目頭を押さえるS先生の姿。

先生、いつかきっと笑って報告に来れるよう頑張ります!

 

※なお、病院や医師などの特定等でご迷惑がかからないよう、
今回転移先の肝臓専門医のドクターイニシャルは、
仮イニシャルにしています。

にほんブログ村 病気ブログ 病気 闘病記(現在進行形)へ
にほんブログ村
ランキングに参加しています♪

読んでいただき
応援していただき ありがとうございます

コメントを残す