38章|C型肝炎治療と地震による心と体の悲鳴

心と体の悲鳴 5月6日(金)

副作用の貧血と頭痛で、ベッドにいる時間が長くなった私の筋肉は見事に衰え、
採血室に行くための4階から1階への移動は往復エレベーター。

今朝も採血室からの帰りエレベーターに乗り込むと、
先客の看護師さんが1人。

見慣れない顔なので、
「どこの階かな?」と思い表示ボタンを見ると5階が点滅している。
T先生との密会場の階の看護師さんだ。

「何階ですか?」
聞いてくれた感じはとても優しい。

エレベーターが動き出したその時
「ガタッ!」と物凄い音と共に凄い揺れで
エレベーターが緊急停止。

震災以降続いた余震も、最近では回数も減り少し安堵していた矢先のこと。
あの日以来、わずかな揺れでも体が恐怖反応を示すようになっていた私は、
久々の大きな揺れを感じた瞬間、震えが止まらず
その場に立っていられなくなる。

そんな私を抱きしめ、
「大丈夫!大丈夫だよ!」と声をかけ続けてくれる看護師さん。

しばらくしてエレベーターが動き出す。
4階で扉が開くとエレベーター前には見慣れた看護師さんが心配顔で立っている。

「チエさん大丈夫?!」
エレベーター内での私の様子を事細かに報告し、
その間もずっと私を抱きしめ続けてくれてた5階の看護師さん。

名前を聞く余裕がなく、きちんとお礼も出来ず…。
あの時は本当にありがとうございました。

この日、看護師さんの優しさに守られた日となったのと、
久々に体感した地震の恐怖で、
私の体と心の痛みはピークに達することになる。

 

今日の検査結果
血小板:1.3万 白血球:1300 赤血球:253 ヘモグロビン:7.7
AST:43 ALT:61 r-GPT:120

 

体と心の痛みの特効薬~手当て 5月7日(土)

週末は彼が病院に来てくれるので、いつもなら母はお休み。
でも昨日の事で体調を一気に崩した私を心配し、フラのレッスンを休み来てくれた母。

「ありがとう」と何度言っても足りないくらいなのに・・
口をついて出る言葉は悪態や愚痴。

それでも母は何も言わずに、
痛む背中や手足をマッサージしてくれる。

母の手から伝わる温かさ。
体と心の痛みを包みこんでくれる温かさ。

「ごめんね・・ありがとう」

 

体と心の痛みの特効薬~笑い 5月8日(日)

彼といつものようにコンビニでお菓子と飲み物をゲットし、
気分転換に院外ピクニックへ。

外の空気を吸うのは久しぶり。
五月晴れの気持ち良い風を感じ、桜の木のベンチでお喋り。
笑いすぎてお腹が痛くなる。

彼といる時間は不思議と体の痛みが和らぐ。
彼の笑顔から伝わる温かさ。

体と心の痛みを包みこんでくれる温かさ。

 

漢方薬 5月9日(月)

インターフェロン治療を始める際に、
それまで愛用していた漢方やサプリの服用を一時中断。

医師に止められたということではなく、
ペグインターフェロンとリパビリンの効能を純粋に知りたいと思ったので、
自主的に止めてみた。

でも、原因不明の体の痛みや頭痛が激しさを増し、
ロキソニンなどの鎮痛剤を服用せざるを得なくなると・・
自分に合ってる漢方とサプリを飲んだ方が体調には良いのではないかと思いはじめる。

漢方やサプリで病気を治せるとは思っていないけど、
今まで治療ができなかった私の体質が改善し、
これまで病態が悪化しなかったのも事実なので。

しかし、S先生にいきなり話すのは躊躇された。
となると・・

看護師さんにお願いし、薬剤師さんの面談を設定してもらおう。

薬剤師さんの予約が取れた。
入院当初、ペグインターフェロンとリパビリンの説明をしてくれた
薬剤師さんが来るのかな?と思っていたら、
現れたのは意外な人。

「うそ~」顔をみて思わず声に出る。

「チエさん~お久しぶりです」とニッコリ笑顔の男性は、
15年前の再生不良性貧血の入院の時に大変お世話になった薬剤師Mさん。

ネームバッヂを見ると肩書きが・・・
偉くなったのね~Mさん。
でもなんでMさんが?

「ナース室から要請があって、たまたま私が対応したんです。
最初はお名前聞いても分からなくて、
カルテを見たらチエさんだと分かってビックリして。
ご結婚されたのですね?おめでとう!」

Mさんの温かい笑顔と言葉が嬉しく、同時にあの頃のこと・・
H先生とのことが思い出され胸が熱くなる。

Mさん直々に漢方とサプリについて、
治療に支障がないか調べてくれるとのことで一安心。
かなり心強い味方ができたわ。

 

よぎった不安 5月10日 (火)

朝、洗面室で顔を洗い、タオルで拭き取りながら鏡をチラ見。

「あれ?なんか全体的に日焼けしてる?
いやいや殆ど外に出てないし・・照明のせいかしら?」
と他の場所に移動して見直してみる。

映る顔色は変わらない・・。

「毎日見てるのに、何で今まで気づかなかったの?」
気になり始めると気になって仕方なくなるもので。

病室に戻り鏡を引っ張り出し、様々な角度からチェックし始める。
光が反射し眩しくて見えにくい。

「まぶしいな」とつい口にして、ハッとする。
私のベッドは窓際。大きな窓からサンサンと太陽光が照らしている。
窓にUVカットフィルムなどは貼られていない。

「これが原因だ。。」

季節は春から新緑の時期へ。
そして紫外線の量も多くなる時期。
でも、まさか入院中に日焼け止めが必要になるとは想定外だったので、
持って来てないし、もちろん塗っていない。

「退院したら、真っ先に皮膚科に行き先生に相談しよう」と、
皮膚科主治医の顔を思い浮かべる。

その時ふと、「婦人科もご無沙汰してるけど大丈夫かな?」と頭をよぎる。
この不安が後ほど、とんでもない事態として命中することになる。

 

←「37章 絆」 「39章 真実」→