C型肝炎はどんな病気?原因|症状|検査|治療|予後
Q1. C型肝炎はどんな病気ですか?
c型肝炎はこわい病気?
A1. C型肝炎とは肝炎を起こすウイルス(C型肝炎ウイルス)の感染により
肝臓に障害が起こる病気です。
C型肝炎ウイルスに感染すると、約70%の人がC型肝炎ウイルスの持続感染者(HCVキャリア)となり
いったん慢性化すると病変が軽いままで経過することもありますが、ほとんどが進行性です。
6ヶ月以上にわたって肝臓の炎症が続き、肝臓の細胞が壊れて肝臓の働きが悪くなる場合を
C型慢性肝炎といいます。
肝炎は自覚症状に乏しく本人も気づかない場合が多いです。そのため肝臓は「沈黙の臓器」と
いわれています。
C型慢性肝炎自体は命に関わる病気ではありません。
しかし何の治療もせず放置し慢性肝炎の状態が続いていると、肝硬変や肝癌という恐い病気に
移行してしまうこともありますので、
病気に早く気づく、発見する、治療することが大事になってきます。
Q2. C型肝炎の原因として考えられることは?
C型肝炎ウィルスはどのようにして感染しますか?
なぜc型肝炎になるの?
どのように感染するの?
A2. C型肝炎ウイルスの主な感染経路は血液からの感染、それ以外の感染が考えられます。
血液を介しての感染経路
わが国のC型慢性肝炎の患者さんは、C型肝炎ウィルスが発見される
1980年代以前に行われた輸血などの医療行為で感染した人が大半をしめています。
◇輸血、血液製剤、注射針の使いまわし
(現在では問題は解決されています)
◇感染者の使用した針などを不衛生なまま用いて、刺青やピアスの穴あけ、針治療や覚醒剤注射などに
使用した場合
(現在も問題になっています)
それ以外の感染経路
感染率は低い、ごくまれなケース
◇母子感染(感染頻度は1%前後)
◇性交渉については通常の夫婦間での感染はまずありえません
ただし性病などにがある場合はやや感染しやすいとされています
Q3. C型肝炎は日常の生活でうつりますか?
人にうつさないために日常生活で注意することはありますか?
c型肝炎はうつるの?
気をつけることは?
A3. C型肝炎ウィルスは感染している人の血液がほかの人の血液に入ることにより感染します。
しかしその感染力は弱く、日常生活での感染は非常にまれです。
上記でも述べたように感染した人の大半は医療行為が原因です。
なので、一緒のお風呂に入ったり、洗濯物を一緒にしたり、キスやハグでうつることはありません。
コインランドリー、銭湯やサウナ、スポーツジム、プールなどを使用したことで肝炎がうつるということは
基本的にありません。
ただ、けがをしたときなど自分の血液が直接的にも間接的にも他の人につかないようにするなどの
注意は必要です。
血液や分泌物がついたものは、しっかりくるんで捨てるか、流水でよく洗ってください。
外傷、鼻血などはできるだけ自分で手当てし、手当てを受ける場合は、手当てする人に血液や分泌物がつかないように注意してください。
ただし多くの場合、血液がついても洗い流せば問題ありません。
カミソリ、ハブラシなど血液がつく可能性のあるものは他の人と共有しないでください。
乳幼児に口うつしでものをたべさせないでください。
献血はしないでください。
Q4. C型肝炎には、どのような症状がありますか?
これってc型肝炎の症状?
A4. 肝臓は、「沈黙の臓器」です。
重症化するまで症状がほとんどないのがC型肝炎に限らず肝臓の病気の特徴です。
◇疲れやすい、疲れがとれにくい、倦怠感、食欲がない、微熱が出る、頭痛や嘔吐などの
自覚症状があることもありますが、風邪に似た症状である事などから見逃されてしまう場合が多いです。
病気が進行すると、
◇手のひらが赤くなる、黄疸がでる、右わき腹、肝臓の部分の腫れ、尿の色が黄色く濃くなるなどの
症状が出る場合もあります。
ほとんどの場合、長い時間の中で症状なく進行していることが多いので、
定期的な検査を受けることが大事です。
Q5. C型肝炎は、どのような検査で分りますか?
どんな検査をすればいいの?
A5. C型肝炎ウィルス(HCV)に感染しているかどうかの診断は血液検査で行なえます。
まずC型肝炎ウイルスの抗体を調べ、感染しているかどうかを診断します(HCV抗体検査)。
その時に血液数値のASTやALTの値から、肝臓の状態を確認します。
ASTやALT値とは、肝臓がダメージを受け肝細胞が壊れた時に血液中に流れ出す肝臓の酵素です。
抗体検査で陽性反応が出る人には、HCVキャリア(現在C型肝炎ウイルスに感染している人)と
感染既往者(以前C型肝炎ウイルスに感染したけど現在は治癒している人)の
2通りの場合がありますので、抗体検査だけでは現在ウイルスがいる状態か
いない常態かまでは分りません。
なので次にC型肝炎ウイルスの有無を確認するため、
ウイルスの遺伝子を調べます(HCV-RNA検査)。
結果、現時点でウイルスの存在が確認されHCVキャリアであった場合は、肝炎の進行度や肝臓の状態を
調べ、早目に適した治療を開始する必要性があります。
肝炎の進行度を調べる検査として肝生検があります。
これは肝臓に針を刺し、肝臓の組織を採取し詳しく調べる検査です。
確定診断を行なう時などには必要となりますが、肝臓に針を刺すなど体への負担もあり、
検査後は安静が必要です。
現在は超音波(エコー)検査での診断の進歩や血液中の血小板の数値からも線維化の状態を
予測できることが分ってきたので肝生検を行なう場合は減ってきています。
Q6. C型肝炎の治療方法を教えて下さい
どんな治療があるのかな?
A6. C型肝炎の治療には根治療法と肝庇護療法があります。
根治療法とは体内からC型肝炎ウイルスを排除し完全治癒を目指す治療方法です。
◇抗ウイルス剤インターフェロン(注射)
インターフェロンは肝臓の炎症やウイルスの増殖を抑える働きをするたんぱく質で、
私達がウイルスなどに感染した時に体内で作られます。
その働きを薬として用いて、定期的にたくさん体内に入れることでウイルスを攻撃し
排除するために作られたのがインターフェロン製剤です。週3回の投与が必要。
◇ペグインターフェロン(注射)
インターフェロン製剤にペグ(REG:ポリエチレングリコール)という物質を結合させることで、
インターフェロンが血中に長く留まれる事を可能にし、週3回必要だった投与を週1回にする事で、
患者さんの治療の負担を減らす事が出来ました。
◇リパビリン(内服)
免疫力を高めることでウイルスの排除効果を活性化させる抗ウイルス薬。
◇レベトール(内服)
リパビリンを1カプセルに200mg含む抗ウイルス薬です。
しかし単独での使用ではC型肝炎ウイルスの増殖の抑制効果はありません。
ペグインターフェロン(注射)と併用することでインターフェロンのC型肝炎ウイルスの
排除効果を高めます。
肝庇護療法(かんひごりょうほう)とはALT値を下げて肝機能を改善させ
肝炎の進行を抑える治療方法です。
◇ウルソ(ウルソデオキシコール酸)の内服
肝臓の血流をよくすることで、肝機能を改善する効果があります。
◇グリチルリチン(注射)
肝臓の細胞膜を強化し肝細胞のダメージや破壊を防ぐ働きがあります。
Q7. インターフェロンの副作用について教えてください
副作用があるのかな?
A7. インターフェロン治療を行なうと様々な副作用が起こるおそれがあります。
副作用は一時的なもので、インターフェロンを中止すると速やかに回復し長く副作用が続くことは
ありませんが、適切な処置や投薬の調整が必要になってくる場合もありますので、
副作用が現れた場合は速やかに主治医に相談しましょう。
よくみられる副作用
初期症状(1週間以内)
◇インフルエンザ様症状:
発熱、悪寒、だるさ、頭痛、関節痛などインフルエンザにかかったような症状。
これらの症状は2回目以降は慣れの現象で軽くなることが多いです。
◇皮膚症状:かゆみ、発疹
◇食欲減退
中期症状(2~12週間)
◇全身症状:微熱、倦怠感
◇消化器症状:食欲不振、吐き気、腹痛、下痢や便秘など。
これらの症状は2~3週間で軽くなっていきます。
後期症状(3ヶ月以降)
◇脱毛:治療開始2ヶ月くらいから、シャンプー時の抜け毛がいつもより気になる程度です。
治療終了後6ヶ月以内に元に戻ります。
特に注意が必要な副作用⇒主治医に相談し適切な処置を受ける必要があります
中期症状(2~12週間)
◇精神神経症状:治療開始から数週間すぎた頃にみられやすく、寝つきが悪い、眠りが浅い、
朝早く起きてしまうという不眠の症状は多くの人にでる症状です。もし不眠に続いて
不安感やイライラ、気分の落ち込みなどの症状がある時は、うつ病の前兆の場合がありますので、
すぐ主治医に相談してください。
◇目の症状(網膜症):網膜の結構障害により、物が見えにくい、目が痛い、目がチカチカするなどの
症状があります。
多くの場合は治療継続中、自然に治りますが、高血圧や糖尿病の持病のある方は注意が必要に
なりますので、症状を感じた時は、すぐに主治医に相談してください。
◇循環器症状:ごく稀に、不整脈(脈の乱れ)や心不全(心臓が弱り全身に血液を送り出せない状態)
を起こすことがあります。
心臓病のある人は注意が必要ですし、糖尿病の人も病気が悪化することもありますので、
すぐに主治医に話し適切な処置を受けてください。
後期症状(3ヶ月以降)
◇甲状腺機能異常:新陳代謝を促進する甲状腺ホルモンの分泌が過剰に高まり、
甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)という、動悸、息切れ、
汗をかきやすいなどの症状と、甲状腺ホルモンが不足し甲状腺機能低下症という、だるい、
皮膚の乾燥、便秘などの症状があります。
検査値異常(注意が必要な副作用)⇒薬の量の変更や治療の中止が必要な場合もあります
治療期間中~治療緒終了後6ヶ月間は定期的な血液検査が必要
◇白血球減少:風邪や感染症にかかりやすくなります。
◇貧血(ヘモグロビン減少):疲れやすい、息切れがする、めまいなどの症状がでます。
◇血小板減少:血を止める止血に必要な血小板が減少すると出血しやすく、血が止まりにくい、
止まらないなどの危険が生じます。