40章|C型肝炎治療ようやく退院

自主退院? 5月16日

何か変?と思い始めたのは、
昨夜の看護師さんの見回りの時。

土日はS先生は休みなので、回診もなく、お会いすることはない。
看護師さんも勤務交代で一日のうちに何人かが入れ代わる。

土曜日は特に看護師さんからは退院についての話しはなく、
「前日の日曜日に説明があるのだろう」
と思っていた。

そして日曜日。
朝の担当は、普段は違う病室を担当されてる看護師さんが調整で担当になったので、
「後で顔見知りの看護師さんに聞いてみよう」と思っていた。

それから彼が来てくれて、院内をブラブラ~していて殆ど病室にいなかったので、
看護師さんと顔を合わすことがなかった。
(検温した体温計と薬を飲んだ後の包みはテーブル上にメモと一緒に置いておいた)

土日は看護師さんの人数も少なく、忙しいそうなので、
わざわざナースステーションに聞きにいくのもためらわれ・・

でも夕飯の後になっても看護師さんからは何のリアクションもない。
これまで何人もの人の退院の光景を羨ましく見送ってきた私だけど、
退院前の事って・・どうだったかしら?

何となく~不安になる。
消灯前にようやく顔見知りの看護師さんがマイスリーを持って来てくれる。

「あの~私、明日退院の予定なんですけど?」
と言うと、

「え?そうなの?さっきカルテ見たけど・・そうなの?」
とビックリされてる。

「ちょっと待ってて」
とナースステーションに戻られる。

「あのねチエさん・・」
と看護師さんが息を切らし戻ってこられる。

「S先生からは何の指示も出てないみたいなのよ・・」

「うそ・・」

次の日の朝1番で母に電話し、
とりあえず退院できるか暗雲が立ちこめているので、家で待機してもらう。

朝の回診。
この時になっても、
「では今日、退院しましょう」と言われるのを期待していた。

でもS先生は普段と変わらない。
「じゃあまた」と言い出て行きそうになるのを、

「先生~あの退院のことですけど・・」
と引き止めると、チラっと振り向いて、

「明日の検査の結果見てね」と立ち去っていく。

「え?」
やっちゃったらしい私。

そこに、「おはようございます・・」
と、いつもより低い声で入ってくるT先生。

私の顔を見ると、
「S先生来ましたよね?」と聞かれ頷くと、

「あともう少しですよ!」
と励まされる。

早くても水曜日まで退院できないわけで・・
すっかり、今日退院するつもりでいたこの気持ちと、
すっかり退院の準備を済ませ、
ほぼ身一つのこの状態をどうすればいいものか。。

 

退院許可の行方 5月17日(火)

朝の採血。
検査室に行くとMさんから、
「昨日、チエさんの検査オーダーが入ってビックリしちゃったよ~」
と言われ、

「ね~」としか答えられなかった。

昨日から会う看護師さん皆さんから、
「チエさん残念だったね」とか「これまで長かったからね」
みたいな事を言われているので、
今回の私の勘違いは瞬く間に広がってるのは間違いない。

ほとんどの方が同情的な発言だったなか、
入院当初の教育係りK看護師だけは違った。

病室に入ってくるなり、
「まったく~チエさんいつまでいるの?と思っていたけど、
勝手に出て行っちゃダメよ!」と言われる。

K看護師、やっぱり流石だわ~!

 

ようやく退院 5月18日(水)

昨日、S先生から正式な退院許可がおりたのは
夕食後だったので、
消灯時間の21時までは連絡に追われることに。。
最後の夜は疲れ果てて爆睡。

そして翌朝・・
いつもより早く目覚める。

C型肝炎の計画治療入院は
当初の2週間の予定を大幅に超えていた。

まだ静まり返った病室、廊下、病棟・・
この2ヶ月半を振り返る。

「チエさん~」
その時、聞き覚えのある声がして振り向くと、
そこにはK看護師とK村看護師の姿。

「私たち夜勤明けで、
お見送りできないから今きたの。
チエさん帰ってきちゃ駄目だけど、
私はいつでもここにいるから、
話したい時はおいでね・・」
最後まで優しいK村看護師。

「やっと本来いるべき場所に戻れるわね!
病気は手ごわいけど、今まで色々なこと乗り越えてきたんだから、
チエさんならまた乗り越えられるよ!」
最後まで手厳しいけど温かいよ~K看護師。

私と病気と関わってくれた全ての方への
「ありがとう」の気持ちを胸に・・
今日私は退院します。

 

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