29章|C型肝炎治療で出た弱音

弱音 4月7日(木)

最初に身体の痛みを感じてから
10日くらいが経っている。

それくらい経つと痛み慣れ?
痛いのが普通になってるという悲しい状況だったが、
どうにか鎮痛剤なしで我慢できるくらい。

それが今朝はいつもと痛みの種類が違う。
手足の血管が痛い!

まるで、血管の中を氷水が流れてるような・・・
冷たいような痛さ。

一昨日の激痛の件もあったけど一応、
朝の回診時にS先生に話してみる。

「血管が痛い???そんなの聞いたことない!」
またもや一喝。

午前11時
いつものように母がお弁当を持って来てくれる。

でも、だんだん痛みがひどくなり、
「こんなんじゃ明日もきっと注射できないよ!」
辛くてつい弱音が出てしまう。。。

母は何も言わす身体をさすってくれる。

一度弱音が出ると止まらない。
今まで考えないようにしてた不安も爆発する。

「インターフェロンも毎週できなかったら効果あるわけないし、貧血も酷くなってる。
こんなんじゃC型肝炎の治療どころじゃないよ。
退院だってできないよ…」

母は、
「大丈夫 大丈夫…」
おまじないのように言いながら身体をさすり続けてくれる。

 

副作用 4月8日(金)

予想はしてたけど。
昨日あんなこと思っちゃったからかな・・・
今日のインターフェロン治療は中止。

これまで3回インターフェロン注射をやって分かったことは。
注射後の副作用は微熱が数日あること。

一週間かけて血小板が徐々に下がり、
注射から1週間後に1万まで下がる。

S先生との取り決めの2万に戻るまで1週間かかので、
注射は隔週になってしまう。

さらに今日の検査結果を見たS先生から、
「貧血も進んでるので、レベトール夜の分を2錠から1錠。
朝晩1錠ずつにしましょう」と言われた。

どんどんひどくなる貧血の副作用。
再生不良性貧血の私が、貧血が進むと どうなっちゃうんだろ?
C型肝炎の治療どこではなくなっちゃうのかも・・・

追い打ちをかけるように肩こりから頭痛が酷くなる。。。

 

■お風呂ノート 4月9日(土)
インターフェロン注射の次の日は微熱もあるので入浴は禁止。
女子の基本入浴日は火・木・土・日曜日。

今日は、昨日の注射が中止になったので、お風呂OK。
体が痛くても、お風呂だけは入りたいと思う女心?

ところで私の病棟では、
お風呂ノートなるものがナースステーション前にぶら下がってる。

看護助手さんが管理するノートなのだけど、
その日の希望入浴時間と名前・病室番号を記入しておくと、
だいたい優先的にその時間で使用OK。
知る人ぞ知る裏技?!

その事を知らない殆どの患者さんは、
朝のバイタルチェクの時に看護師さんに入浴希望を告げる。

すると看護師さんから看護助手さんへ申し送りされる。
そして看護助手さん達で、その日一日の入浴スケジュールを組むというわけ。

介助が必要な患者さんは午前中。
次に希望時間ある患者さんを組み込み、
それ以外の患者さんを空いてる時間に割り振る。

割り振られる時間帯も、現場の状況により変更されるので
希望を出さなかった患者さんは、声がかかるまで病室待機。

この裏技を知った私は毎回ちゃっかりノートに希望を書き込む。

午前中は介助必要な患者さんが多いとNGなので、
午後の好きな時間に入れると大抵その時間でOK。

今までこの裏技を知ってる人は少なく
ノートには私の名前がずら~と並んでるだけだった。

でも今朝は違ってた。
私がいつものように朝の洗顔を終えた時は、
まだノートがぶら下がってなかった。

朝食後に再び見に行った時にノートを発見!
開くと…

先客がいた!
それも私が希望する14時に。
残念。。。

1人だいたい30分単位なので、
14時30分の希望に変更。

 

■退院したい 4月10日(日)
今日も一瞬の差で、お風呂ノート書き込みが2番目。
昨日と同じ人が1番。
むむ強敵!

C型肝炎の治療入院から平日は毎日母が、
週末には彼が必ずお見舞いに来てくれる。
ありがとう・・・

母には弱音も出るし八つ当たりもしてしまう。
病気で不安になり、メソメソしてるのを、

「大丈夫!大丈夫」
となだめてもらってる。

彼には病気であることを忘れさせてもらってる。
彼が来てくれる土日は笑いすぎて、身体の痛みを忘れるくらい。

それでも今日は副作用や頭痛など不安で弱音がポロポロ・・・

いつものように消灯時間5分前の20時55分病棟ロービー。
「ここで見てるから」
と彼に言われ病室に戻る。

病室まえで振り向くと彼が手を振ってる。
いったん部屋に入り廊下に出る。

私が部屋に入るのを確認した彼の姿はない。
急いで階段のところに行くと、
降りて行く彼の足音が聞こえる。

「一緒に帰りたいよ~」
その日は彼の足音が聞こえなくなっても、
その場を離れることができなかった。。。

 

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