CT診断で肝硬変の疑いが告げられた日。
病院からの帰路、頭の中を肝硬変の文字がグルグル。
このままC型肝炎の治療ができなければ、
いつか進行して怖い病気になる。
その不安は常にありました。
実際にその場面になると・・
色々なことが頭を巡り、気が付くと考えている。
でも、これという答えが出ることはなく。
気晴らしにパソコンに向かっても、
いつの間にか肝硬変のキワードで検索してます。
そして目の前には、想像以上に厳しい言葉が並び・・。
暫くは何も手につきませんでした。
6月に入ると、まず血液内科の受診がありました。
「主治医K先生に肝硬変のこと報告しないといけないんだよな・・」
そう思うと気持ちが重かったです。
診察室に入り、いつもと変わらぬ穏やかなK先生の笑顔を見ると、
それまでの不安と緊張の日々の思いが一気に込み上げてきます。
「どうですか?変わりはないですか?」
と先生に聞かれ、
「肝硬変になっちゃったみたいで・・」
私の言葉はか細く聞き取りにくかったと思います。
唐突に発した私の一言に、
「今は色々と良い薬もありますし、
これからも良い薬ができます」
K先生は変わらぬ穏やかな表情のまま仰る。
「すみません、知ってはいても・・
覚悟はできてなかったようです・・」
と言うと、
「皆さんそうです。最初は動揺しますよ。
でもね、少しずつ受け入れてくるものです。
僕の他の患者さんもそうです」
と続ける。
「そうですか?そうなれますか?」
「そうですよ。1つずつでいいんですからね。
今までチエさんもそうしてきたでしょ?
だから今までと一緒ですよ」
K先生の言葉で少し軽くなっていくのを感じます。
なので翌々日にあったS先生の受診も思ったより冷静でいられました。
診察室に入ると電子カルテで血液検査の結果を見ながら、
「他の数値も基準値内。
こうなると本当に真相を知るには肝生検しかないんですよね」
と仰る。
「先日K先生に確認したら、
血小板投与しながらなら肝生検出来ると仰ってました」
と言うと、
「それは出来るかもしれませんが、
でもそこまで危険おかしますか?
今日の血小板2万じゃないですか?」
やはり、そこは昔も今も、
血内と消内の医師の立場では見解が分かれます。
「ところで新薬はどんな感じですか?」
こういう時は話題を変えるのが賢明だと学習済の私は
一番聞きたい話題に移る。
肝生検は必要性が生じた時に考えれば良いということだものね・・・。
「年内の実施は期待できますね」
と仰るS先生に
「やっぱり先生にお願いできないですか?」
と言うと、
「前から言ってるように、ここでは、すぐには無理です。
その点あちらは(転院予定の病院)大学病院との連携が強いから、
早い実施が可能ですし、肝臓の専門医も多い。
K先生もいることだし、チエさんには必要な環境です」
S先生の言葉を聞きながら、
3年前、今いる診察室でのS先生との最悪の出会いを思い出していた。
無謀だとされたインターフェロン治療をキッカケに、
この3年で築き上げられたS先生との信頼関係を感じていました。
「あなたが希望すればいつでも紹介状書きます」
S先生は静かに仰る。
「ありがとうございます。
その時はよろしくお願いします」
と私が言うと、
「とりあえず一応1か月後に予約いれておきますが、
気持ちが決まったら電話下さい。
暑い中、取りに来るのも大変だろうから郵送しますよ」
こんな優しいS先生はじめてと思うくらいに優しい・・。
S先生、K先生のおかげで少し気持ちが楽になり、
これからの事をちゃんと考えようと思いました。
少しずつですが、肝硬変という病気を受け入れ、
向き合い克服していこうと・・・。
そしてS先生の7月の受診予約日の1週間前、
紹介状をお願いする旨を電話で伝えました。
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