C型肝炎の治療は、インターフェロンでウイルスを排除する根治療法と、
ウイルスは排除できないけれども、肝機能数値〔AST(GOT)とALT(GPT)〕を下げる
「肝庇護(かんひご)療法」という対症療法の2つに分けられます。
現在、肝臓ガンの原因は殆どがC型肝炎ウイルスで、
83%を占めているとされています。
C型肝炎ウイルスに感染された肝臓は炎症を起こし、
その炎症が続くことで慢性肝炎となります。
慢性肝炎になると、肝細胞の破壊と再生を繰り返します。
この繰り返しの中で線維化が進みます。
肝臓の線維化が進行した状態が肝硬変です。
肝硬変まで進むと、10年のうちに約80%の方が肝がんを発症するという
データがあります。
ここでC型肝炎治療方法の基本のお話
もっとも基本的なC型肝炎治療方法は
インターフェロンでC型肝炎ウイルスを駆除する治療法です。
ウイルスをすべて消失させ、肝臓がんの発病を抑える根治療法です。
ただ残念なことに日本人の多くを占めるC型肝炎ウイルスの遺伝子タイプ1B型には
最もインターフェロンが効きにくいタイプです。
また、インターフェロンの重篤な副作用により治療を続けられない患者さんや、
再燃する患者さんも多いです。
では、インターフェロンやリバビリンによる重篤な副作用や
高齢化や肝の線維化の進行、インターフェロンの無効化や再燃の場合などはどうするか?
私がそうでした
リパペグの副作用により治療は強制終了。(2011年9月)
肝機能数値が反動?で上昇
「私どうなるんですか 」
「うーん・・・」
珍しくすぐ言葉が出ない主治医S先生。
「貧血が落ち着いたら、もう一度インターフェロン治療できますか 」
「あなたの場合、もしもう一度やるなら遺伝子検査受けて、
インターフェロンが本当に効果あるか調べてやった方が良いですよ。
なんたって命がけですからね。
いつでも国府台病院に紹介状書きます。肝臓の名医もいるし、セカンドオピニオンしてきたら?
あ!でも、うちでは診れないと言われるかもしれませんねチエさんの場合」
「先生は診てくれないんですか 」
だいぶカチンときた
「診ますよ!ご希望なら私がこれからも診ます。
でも今の状態だと再度のインターフェロンは得策だと思わない。
でも、あなたが希望するならという話しです 」
こちらもカチンときたらしい
「では遺伝子検査だけ受けて効果見込めたら、先生にまたお願いもできますよね 」
「ご希望ならね。でも今回も血小板4.7万での申請が降りたのはラッキーでしたからね。
今は2万前後なわけですから、頑張ってやりたいだけでは出来ません!」
「…」
「インターフェロン使わない新薬の開発も進んでるようです。
チエさんの場合は再生不良性貧血でインターフェロン治療が厳しいということで、
申請も通りやすいでしょうからね」
ここで今後の治療方法についてS先生との戦略的治療の計画が始まりました。
S先生は色々と調べてくれてたようです。
それならそうと素直に言ってくれれば良いのに相変わらずだな
(戦略的治療について記してます)
では、まず肝機能数値を下げるためにどうするか。
ウイルス自体は排除できませんが、肝機能数値〔AST(GOT)とALT(GPT)〕を下げる肝庇護(かんひご)療法があります。
ウイルスによる肝炎の炎症を抑え、少しでも慢性肝炎から肝硬変、
肝がんへの進行を遅らせる、対症療法です。
インターフェロンのようにウイルスを直接駆除する根治療法ではないですが
肝炎の進行を遅らせることによって、発がんの可能性をより小さなものにしていきます。
対症療法としては、肝機能数値〔AST(GOT)とALT(GPT)〕
をできるだけ低く抑えるということが大切です。
ウルソなどの内服薬や、強力ネオミノファーゲンC(強ミノ)という注射、
インターフェロンの少量持続投与、それから瀉血(しゃけつ)といって、
血を抜いて少し貧血の状態を作って鉄を減らすという方法があります。
ここまでの説明を聞き、
「私にはどの方法が良いですか?」
とS先生に質問。
「チエさんの場合は、どれが良いかというより、出来るものが限られます」
とのお答え。
「そうなら最初から教えてくださいよ」
「まぁ色々と知っておくことは良いことだから」
「そうですね、それでどの方法ですか 」
「どれだと思いますか?」
「うん~血を抜くのは採血みたいで嫌だし、貧血になっちゃう 」
「せいかい!」
「インターフェロンは無理だし 」
「せいかい!」
「強ミノは強そうだけど、週に3日は厳しいし…
強力ならいざという時のためにとっておきたいかな 」
「だいぶ良い思考になりましたね」
「ウルソで正解ですか 」
「消去法だと、それしか残らないですよね」
「正解なんだから、「せいかい!」で良いのに 」
と思う。
ということで、ウルソを一日600mg朝昼晩の3回に分けて服用することになりました。
どの方法も一長一短ですので、患者さんの病状に合わせて
治療方法を選択する必要があります。
私が行ったウルソ治療での肝機能数値の変化や、
他の対処療法の内容などについては改めてお話しします。
なお、現在インターフェロンの治療方法は年々進歩し、
新薬シメプレビルはペグインターフェロンの注射と、
抗ウイルスの飲み薬リバビリンと併用することで、
治療効果が上がるとともに、副作用も少ないのが特徴になっています。
(新薬治療について記してます)
お手数ですが応援していただけると励みます↓