C型肝炎治療新薬|初のインターフェロン(IFN)フリー薬

厚生労働省は2014年7月4日、インターフェロン(IFN)を使用しない経口薬で
高い確率でウイルスを除去できるC型肝炎治療薬(ブリストル・マイヤーズ製)
を承認しました。

新薬


近年、C型肝炎の治療分野では目覚ましい革新が進行しています。
ブリストルマイヤー ズ製の「ダクラタスビル」「アスナプレビル」
経口薬2剤の新薬が7月に承認されました

8~9月に一般の患者への適用が開始予定されていることから、
国内初のインターフェロンフリー治療がこの秋にも開始されます。

副作用が多いインターフェロンを使わないで内服薬2剤のみで治療できるため、
患者にとっては負担が軽くて済みますし、著効率も高いため待望の新薬です。

ただしウイルス変異の懸念があると云われており、
この薬に関わるウイルスの遺伝子変異検査を受け適用することが求められています。

待望のインターフェロン(IFN)フリーの経口2剤新薬

薬名

NS5A阻害剤のダクルインザ(一般名:ダクラタスビル
プロテアーゼ阻害剤のスンべプラ(一般名:アスナプレビル

ダクラタスビルとアスナプレビルはC型肝炎ウイルス蛋白を直接に標的として
攻撃する、直接作用型ウイルス薬です。

 

使用方法と使用期間

ダクラタスビル錠(60mg)アスナプレビルカプセル(100mg)
1日2回(おそらく朝と晩)毎日24週間服用する治療法です。

 

有効率

ダクラタスビルとアスナプレビル2剤併用療法の治療終了24週後に
C型肝炎ウイルスが検出されない治癒率は84.7%で、
80%~90%の有効性が期待されています。

年齢(65歳以上と未満)や性別での有効性に差は認めませんでした。

 

無効例

2剤併用療法を受けて無効だった症例は15.3%(222例で34例)です。
その中の多くの無効例で薬剤耐性変異が検出されました

特定の遺伝子変異のあるウイルスでは
著効率が30~40%程度に留まる
と言われており、
もし治癒できなかった患者は、
その後の治療薬の選択が難しくなる可能性が指摘されています。

このことからも、治療前にダクラタスビルとアスナプレビルに対する
HCV薬剤耐性変異解析を検査することで有効性を予測することが
重要なのが分かります。

 

メリット

薬を服用するだけの治療なので、通院等の患者への負担が少なくなります。

またインターフェロン治療に比べ副作用が少ないので、
高齢者や持病のためインターフェロン治療が不適格だった患者への適用も可能となります。

 

デメリット

インターフェロンフリー新薬での治療で危惧されるのが薬の耐性問題です。

特定の遺伝子変異のあるウイルスでは、著効率が30~40%程度に留まると言われており、
もし治癒できなかった患者は、その後の治療薬の選択が難しくなる可能性が指摘されています。

 

治療対象者

対象は、難治型である1型高ウイルス(ジェノタイプ1b)の
慢性肝炎・ 代車性肝硬変患者です。 

治験は主にインターフェロン(IFN)適用困難患者、IFN治療無効患者に
行われていますので、 これに基づいて対象範囲が決まると云われています。

 

副作用

重症の副作用としては、
ALTやASTなどの肝機能数値が500以上に上がることがあります。

ATLの上昇程度によっては、専門医の特別対応が必要とされ、
ALT値300を1つの判断基準とし慎重に治療を進めていく必要があるとされています。

その他で確認されている副作用には、頭痛発熱下痢鼻咽頭炎などがあります。

 

先生:「チエさんのようにインターフェロンで重篤な副作用があり使用できない場合、
C型肝炎を治すにはインターフェロンを使用しない新薬での治療が効果的だと思います。
ただ新薬には耐性の問題があります」

:「耐性ができてしまった場合、今回の新薬で効果を得られなければ、
今後は同じグループでの薬剤効果は期待できないということですよね?」

「そうです。最適な抗ウイルス治療をするにはHCVジェノタイプ(C型肝炎ウイルスの遺伝子型)を調べる事はインターフェロン薬の場合も必要でしたが、
今回の新薬の場合はさらにHCV薬剤耐性変異(耐性遺伝子)を調べる必要があります。

遺伝子により効果を得られるか否かも違ってきますので、
遺伝子検査である程度の効率を調べてから、チエさんの治療法を選択していきましょう。
新薬の治療が開始して検査の環境が整いましたら、もっと詳しくお話しますね」

 

この薬が効きやすいのか、効きにくいのか?
HCV薬剤耐性変異があるのか、ないのか?
を調べる遺伝子検査

今のところ、この遺伝子検査には保険が適用されませんので、
自費で2万円くらいだそうです

事前遺伝子検査を扱う病院や専門検査機関は増えつつありますので、
是非この検査を受け、その結果により、この薬を適用するか、次に出る新薬を待つか・・
肝臓専門病院・専門医の診断により、各自にあった治療法を選択されることをお薦めします。

 

今後のC型肝炎治療新薬|続々新経口薬が治験中

来年の承認が期待されているのが、ギリアド・サイエンシズ社の
ソフォスブビル+レディパビルです。

著効率は、治験の結果からは95%以上になるであろうと言われています。
(米国では、薬価は高いようです)。

ただし、この新薬を待っている間に肝炎や肝硬変の進行・重症化はあり得ますし、
肝がん発症のリスクもあります。

 

「私の場合は耐性の問題がクリアーできれば、
やはり今すぐにでも新薬での治療を開始した方が良いんですよね?」

「うーん、それがそうとも言えないんです。
もちろんC型肝炎ウィルスを一日でも早く退治して完治させるのが、
肝臓にとって良いことですが・・・。

それこそ更に次の新薬での治療が可能になるのに
あと3~4年かかるというのであれば、肝臓の状態の事を考えると、
まず何としても今回の薬での治療をとなりますが、既に次の新薬が開発されているので、
日本でもだいたい1年後くらいには使用できる予定です。

今回の新薬だと8割の効果があるとすると、
次は9割とかそれ以上の効果を出す薬になってる可能性がありますので、
チエさんの場合は新薬の耐性検査の結果及び肝機能数値の経過を見ながらですが、
今回の新薬に限らず高い効果の見込める薬での治療をと考えています」

 

病気の本質と自身の肝臓の状態を把握・理解して、
最新の医療情報を踏まえ、将来の新薬の動向も視野に入れて
自己のベスト治療を考えなければならない時代になっています。

そのためにも、信頼のおける専門医と共に患者ごとに
戦略的な治療を考えていくことが必要になっていると思います。

今月半ばに受診予約が入っています。
今後もダクラタスビルアスナプレビル経口薬2剤
その他治療について知り得た情報がありましたら、
また随時お話させていただきたいと思います。

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最後まで読んでいただきありがとうございます。

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