再生不良性貧血|家族の思いと造血幹細胞移植

考える女性
前回の血液内科受診日。
採血でとんでもない目にあった私。
その日は、主治医K先生に移植のことでお話しがあったので・・・
幸先の悪さに心が折れたまま待合室で順番を待っていました。

まずは再生不良性貧血の根本治療である移植
についての基本のお話。

造血管肝細胞移植

造血幹細胞移植とは患者さんの骨髄を破壊した後に、
提供者(ドナー)の造血幹細胞を移植し、新たな造血システムを再構築する治療法です。

造血幹細胞移植の種類

骨髄移植末梢血幹細胞移植臍帯血移植の3種類がありますが、
成人を対象にした移植では骨髄移植末梢血幹細胞移植が中心になります。

どちらも効果はそれほど変わりませんが、
回復のスピードや移植後の病気の重症化などそれぞれのメリット、デメリットがあります。

次に造血幹細胞移植には、
自分の造血幹細胞を保存しておいて前処置のあと体内に戻す「自家移植」
血縁者を含む第三者の造血幹細胞を移植する「同種造血幹細胞移植移植の2つに分けられます。

移植前処置のリスクと負担の軽減

移植前処置の必要性

患者さん自身の骨髄が残っている状態で移植を行うと、
白血球中のリンパ球(ウィルスによる感染を防ぐ役割)が
移植されたドナーの細胞を外敵と間違い排除してしまいます。
これを拒絶反応といいます。

そのため同種造血幹細胞移植を行う前に、患者さんの骨髄を破壊する必要が生じます。
強力な免疫抑制剤・抗癌剤の投与や大量の放射線照射を行います。
これを前処置といいます。

副作用

移植前処置で用いられてきた抗がん剤や全身放射線照射は
臓器や組織に対する毒性や負担が強く、強い吐き気や下痢などの副作用を伴い、
患者さんの負担が大きく、移植に伴なう危険性も高まります。

負担の少ないミニ移植

今日では、1990年代後半に開発された骨髄非破壊的移植(RIST)
移植方法として有用性が期待されています。

造血幹細胞移植の際に、移植前治療を骨髄機能を破壊するほど強いものでなく、
免疫抑制を主体とした前治療を実施することにより、
大量の抗癌剤を使用する必要がなくなりました

従って重篤な副作用を合併することなく、移植が可能であることが証明されています。
ミニ移植と呼ばれるものです。

この方法を使用すると70歳程度までの高齢者でも比較的安全に
造血幹細胞移植が可能であることが明らかになってきており、
患者さんの治療の選択肢が広がり、予後の改善にも繋がります。

ただ、身体への負担が少なく安全に実施できるものの、
長期の治療効果については未だに十分なデータがないため、
現時点では研究的治療として位置付けられています。

HLA(ヒト白血球抗原)検査と費用

造血幹細胞移植を可能にするには患者さんとドナーのHLAの一致が必要不可欠となります。

A・B・O・ABという赤血球の血液型があるように
白血球にも型があり、それをHLA(ヒト白血球抗原)といいます

HLA型の検査には2ml程度の採血が必要です。
検査の結果が出るまでに2週間程度かかります。

なお、HLA検査は移植するまでは保険適応がありません
そのために 1 人当たり約 30,000〜50,000 円の実費費用がかかります。

HLA型が一致して移植となった場合は、
患者さんとドナーさんの費用の一部(保険適用分)が返ってきますが、
移植されなかった場合は 戻ってきません

造血幹細胞の採取方法

クリップ 骨髄移植の場合は、
全身麻酔下で骨髄液を採取します。
通常は2泊3日程度の入院が必要となります。

クリップ 末梢血造血幹細胞移植の場合は、
採取前の3~4日まえに入院し、
白血球を増やす薬(G-CSF)を一日1~2回注射します。

造血幹細胞が増えたところで、成分献血と同じ要領で片方の腕から全血を採取し、
分離機にかけて末梢血幹細胞だけを採取。
その他の血液成分を反対の腕から戻す方法です。
採取終了後は1~2日で退院となります。

どちらの採取方法も提供者には多少のリスクは伴います。

 

 

先日、弟から母に電話があった時に私の病気の話となり、
その時、「必要ならいつでも言ってくれ。ドナーになるから!」
と言ってくれたそうです。

再生不良性貧血が再発した時も、弟は同じことを言ってくれました。

でもその時は結婚前で、出産に望みも持っていたし・・・
弟自身も体調を崩した時期もあったりで、HLA検査はしないまま。

インターフェロン治療が失敗し、今後のC型肝炎の治療を考えると、
副作用の影響を受けやすい再生不良性貧血の根本治療の必要性は高まります。

でも、体調は落ち着いているといっても持病があり、
まだ幼い子供がいる弟に負担をかけることは・・・
私からは言い出せなかったこと。

その事を主治医K先生に話すと、

「優しい弟さんがいて良かったね。
チエさんの場合は今の状態だと、
移植しないより、移植する方がリスク高いから、
移植のこと考えるのは、もう少し先でいいと思います。
弟さんがいてくれたら心強いね」
そう仰り微笑む。
今後のこともあるからと移植についても詳しく説明して頂きました。

「うんうん・・・」
先生の言葉で胸が熱くなった私は言葉にできず頷き聞いていました。

再生不良性貧血の私が、
家族の思いと造血幹細胞移植について考えた一日でした。

最後まで読んでいただき、ありがとうございますわーい (嬉しい顔)

 

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