C型肝炎治療の最終目標は肝臓ガンにならないことです。
いかに発ガンを抑えられるか、
もしくは、発肝がんの発生リスクを軽減するかが重要になってきます。
C型肝炎ウイルスが体内から排除出来れば、
肝臓不全や肝細胞癌の危険性が下がることが証明されています。
なのでC型肝炎に対する最良の治療は
肝炎ウイルスを体内から排除するための根治療法インターフェロン(IFN)治療ですが、
C型肝炎ウイルスを体から排除出来なくても、
AST(GOT)ALT(GPT)が下がれば肝細胞癌の危険性が下がると言われています。
私:「貧血が良くなったら、インターフェロン治療を再開できますか 」
消化器内科主治医S先生:
「え?インターフェロンまたやる気なの?」
「だって、やらなかったら 」
「病気は進行していくけどね」
「・・・ 」
ジトーっとした私の視線を感じたS先生
「だからチエさんにも使える新薬出るまで、
肝庇護療法で病気の進行を出来るだけ抑えるって感じですね今は」
と少し優しい口調で仰った。
肝庇護療法とはAST(GOT)ALT(GPT)の数値を下げる治療で、
肝炎を鎮静化させ肝細胞破壊を抑え肝硬変への進行と発肝癌を抑制する治療です。
その中の1つにウルソデオキシコール酸(商品名:ウルソ)の服用治療があります。
ウルソは、熊の胆嚢(たんのう)に含まれる成分を化学的に合成した製剤です。
「チエさんの場合は、まずウルソ飲んでみましょうか?」
「ウルソ 」
「熊の胆(くまのい)知ってる?」
「何か聞いたことあります。
漢方ですよね 高山植物でしたっけ 」
「熊の胆嚢(たんのう)!」
「え熊ですか
熊の胆嚢で作った藥ですか 」
「本物の熊から作ってるのが熊の胆。薬は人工的に作ってますよ」
「ですよね
でも何で肝臓に胆嚢なんですか 」
「胆嚢というより、胆汁ね!」
胆嚢(たんのう)は肝臓の下の方にピッタリとくっついた袋状の臓器で、
肝臓で作られた胆汁を貯めておく袋です。
胆汁は脂肪の消化、吸収を助ける働きがあり、
主に胆汁の中の胆汁酸が脂肪分を溶かす作用を持っています。
人の細胞の表面は脂分でできた細胞膜に覆われているので、
細胞が胆汁酸にさらされると、細胞膜が傷つきダメージを受けてしまいます。
肝臓の機能が低下し、肝臓から胆嚢への胆汁の流れが悪くなると、
胆汁酸が肝臓にたまり、肝臓の細胞に傷害を与えるので、
更に肝臓の機能が悪くなってしまいます。
そこで、これら肝臓の機能が弱っている状態を改善させる薬として
ウルソデオキシコール酸(商品名:ウルソ)があります。
最近では、ウルソは今まで述べた肝臓の保護だけでなく、
肝臓の免疫力を挙げる働きがあることもわかってきました。
「副作用は 」
「そこはチエさんにとって重要ですものね!
そうですね便秘とか下痢、痒くなったりとか湿疹。
まぁチエさんが心配してるような重大な副作用は殆どなく、安全性が高い内服薬ですよ」
「ビオフェルミン飲んでるから、整腸作用は大丈夫ですよね 」
「うーん、ちよっと違うけどね。
まぁとにかくウルソ600mgでやってみましょ!効くと良いね~」
「効かないと困ります 」
ウルソはC型肝炎ウイルスを体内から排除する効果はありません。
しかし、ウイルスが排除できなくても、AST(GOT)・ALT(GPT)を長期間できるだけ
低い数値保つことができれば発肝がんの発生リスクを軽減できることが報告されています。
ウルソ服用後のAST(GOT)・ALT(GPT)値の推移、
その後の治療についてはまた後ほど
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