C型慢性肝炎の患者さんは、普通の人より
肝臓に鉄が溜まりやすいことが分かっています。
鉄が過剰に蓄積すると肝臓の中で活性酸素の産生が高まり、
それが肝臓の炎症を促し、肝硬変や肝臓がんへの進行を促すことになります。
そのため、肝臓にたまった鉄を減らすために血を抜くという治療法があります。
インターフェロン治療が出来なくなった私は、
「肝庇護(かんひご)療法」という対症療法を行い
肝機能数値を下げることになりました。
今日は対症療法の一つ瀉血(しゃけつ)療法について基本のお話し。
瀉血療法…何か難しそうな言葉にどんな治療?と思ってしまいますよね。
S先生にはじめて説明された時も。
「しゃけつ療法はチエさんにはね」
と言われた時に咄嗟に頭に浮かんだのは。
「しゃけつ?どんな漢字ですか 」
と聞いてました。
「漢字を聞きますか?」
「漢字が分かればイメージしやすいかと」
「血を抜く治療です、イメージできましたか?」
「なんとなく… でも何で血を抜くのですか 」
瀉血(しゃけつ)療法とは一定量の血液を抜く治療です。
鉄は血液中にヘモグロビンとして含まれているので、
血液を抜き取ることで、肝臓内の鉄 含有量を減らすためです。
「あ~だから、鉄欠乏性貧血の人は鉄分とりなさい!ってことですよね 」
頭をフル回転し、回転しすぎて違う論点にいきついた私
「まぁ今それ関係ないけど、考えようによってはそういうことですね」
「でも血を抜くって…もちろん採血よりも多い量ですよね 」
「そうね献血くらいかな」
「輸血はあるけど献血は経験ないんですけど・・・」
「同じようなものでしょ。取るか入れるかです。イメージしやすいでしょ?」
「まぁそうですね 」
瀉血療法とは1回200cc~400ccの血液を繰り返し抜いていくという治療法です。
ただむやみに抜くのではなく、初期では、体内にたまりすぎている
鉄分の指標となるフェリチンの数値を10ng/ml以下になるまで、
1~2週間おきに瀉血を繰り返し行います。
フェリチンの数値が10ng/ml以下になったら一時中断し、貧血の回復を待ちます。
それ以降はフェリチンの数値を10ng/ml前後に維持する維持療法
に切り替えて、フェリチンの数値とヘモグロビンの数値を確認しながら、
2週間から1ヶ月に1度の割合で1回200cc~400ccの瀉血を行います。
瀉血によって血液を抜くと、ヘモグロビンが減ります。
減少したヘモグロビンを補うため血を造ろうとし、造血作用が働きます。
そのとき、肝臓に過剰に蓄積された鉄が造血に使用され、
それに伴い肝臓の中の鉄が減少し、炎症が抑えられるという治療法です。
「200cc~400ccは輸血でいうと1~2単位ですね。
それなりの量を抜くんですね 」
「チエさんの場合そういう意味だとイメージ湧きやすいでしょ?」
「まぁそうですね でもそれだけ抜いて貧血にならないのかな 」
「中にはいますよ貧血になる方。チエさんほどではないけどね!
だから患者さんの病状や体質に合わせて一回で抜く量は調整します。
普通は殆ど副作用はありませんよ。
そう言えば患者さんで真性多血症の患者さんがいて、
その人は400~600抜いて丁度良いですからね」
「なるほど~私だったら倒れてますね 」
もともと私のような貧血の人以外で瀉血が出来ない人って他にいますか?
の質問に対しては。
慢性肝炎が進行して肝硬変になられている方は貧血の可能性と、
低 アルブミン血症などの栄養障害の可能性があるので、
1回の瀉血量や回数には注意が必要らしいです。
また、体重の軽い方や持病があり一度に200~400ml抜くことが不安な場合は、
1回の量を100ml前後と少なくして瀉血することで、過剰になった鉄分を抜くことが可能。
1回の瀉血する量が少なければ、総回数は増えますが、身体に負担のないペースで
トータル的に考えていけば良いそうです。
現在、瀉血療法で肝機能が正常化する患者さんは全体の2~3割にのぼるらしいです。
残りの7~8割の患者さんは肝機能が正常化はしませんが、
それでもほとんどの方はAST(GOT)値が半分以下くらいに下がるようですので、
肝炎の進行を遅らせるという意味でので治療の効果はあると思われます。
「先生ところで、どんな漢字ですか 」
「こんなの!瀉血」
と大きく書いたメモをくれました。
パソコンで変換してたの見てましたからね!
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