8章|C型肝炎の発症
3つ目の病気~C型肝炎の発覚~ 1995年11月21日
そして子宮内膜症の手術から7日目・・・
抜糸が行なわれ内科病棟に移った。
産婦人科の術後の経過及び治療は外来で行なう事になる。
血液内科は西病棟だったが、
ベッドの空きが出るまで東病棟の2人部屋。
病室移動をすませ待っていると、
担当の看護婦さんが来て一通りの説明をし終えると母に向かい、
「お嬢さんは肝炎ですので、院内のコインランドリーは使用せず、
ご自宅で洗濯して下さい。
それと入浴ですが、他の方全てが入り終わった最後になります。
洗面所も他の人が居ない時に使用してください」
つけている手袋を直しながらの看護婦さんの言い方は、
ほとんど、ばい菌扱いだった。
そういえば手術前のウィルス検査で肝炎は陽性と言われた事を思い出した。
でもその後、M先生やK先生から特に何も話はなかった。
それに産婦人科病棟では普通に接してもらっていたので、
看護婦さんの言葉は衝撃的だった。
母をみると、とても悲しそうな顔をしていて切なくなる。
いくら必要な事だとしても言い方がある。
その後すぐ、看護婦さんの言ったことは
ウィルス性肝炎に対する間違った認識であることが判明する。
不安になった私は、夕方の回診に来たK先生に肝炎の事を聞いた。
K先生からは次のような説明がある。
・検査の結果、C型肝炎の発症が確認されたこと
・現在の肝機能数値は高くないこと
・貧血の数値
これらを踏まえてC型肝炎については経過観察しながら
貧血の検査や治療を優先していくとのことだった。
先生の説明を聞き終えた時
「C型肝炎は人に移るんですか?」と気になっていたことを聞いた。
「え?」と先生は驚き
通常の生活で感染することはないとキチンと説明してくれた。
とても安堵すると共に憤りも感じた。
ウィルス性肝炎に限らず、
世間の間違った認識で差別ともとれる風潮が
患者や家族をどれだけ苦しめるか。
病気と闘い心身ともにボロボロになりながらも頑張ってる人々を、
無責任な言動で傷つけるのはやめてほしい!
まして医療に携わる人間であれば尚のことである。
15年以上経った今でも、
あの時の看護婦さんの言葉は
私や母の心の痛みとして完治しない傷となり残っている。
数日後、西病棟のベッドが空き移動するまで、
再びあの看護婦さんの顔を見ることはなかった。