31章|C型肝炎治療が引き起こす甘え

身体の痛みは心の痛み 4月16(土)

朝食後7時30分にロキソニン1錠を飲む。

8時30分。
遅くとも効いてくるはずの時間なのに痛みは相変わらず。

今日は目の奥の痛みが酷い。
眼底をわしづかみにし、グッグッと押さえつけられる感じ。
この痛みさえなくなれば入院生活も少し楽なのだけどな。

インターフェロン注射も隔週、
効果も思うように出ていない。

C型肝炎の治療はこの先どうなるんだろ?という不安。
そこに追い打ちをかける身体の痛み。
気持ちだけでなく、身体の自由…余裕がなくなってくる。

毎日お弁当を持ってきてくれる母。
リュクにペットボトル4ℓ水を背負ってきてくれる母。
計画停電が続き大変なのに。。。

でも・・・
「ありがとう」の気持ちが、
母の体調が心配で、「大事にしてね」の気持ちが、

口をついて出てくるのは、
「お弁当飽きたから、もう作ってこなくていい」
「帰りの電車のこと気にするなら毎日来なくていい」
「もう帰っていいよ」だった。

そのくせ、母が来なかったらどうしようとか、
帰っちゃったらどうしようとか…。
不安でいっぱいなのにね。。。

 

福島の女性 4月17日(日)

昼食後にロキソニン1錠。
けっきょく昨日は10時。
飲んで2時間30粉後に効いてきた。

劇的に痛みがなくなったわけではなかったが、
いつもより痛みを感じなかったかも。
夕方7時間くらいまで効いていた。
なので今日は昼食後に試してみることに。

昨晩、若い女性が病室に仲間入り。
起き上がることが出来ないらしく、ご挨拶はしていない。
カーテンも閉められたまま。

起き上がれない状態なのに、
この部屋だと大変なのに?と思っていた。

この部屋はナースステーションからも洗面室、トイレからも1番遠く、
自力で身の回りのことができる患者さんが入室することになっている。

普段はナースコールが少ない病室内に
昨夜からナースコールが響く。

「どうしました?」と看護師さん。
「おトイレお願いします」
ポータブルトイレが置いてある様子。
他の病室が満室なのかな?

理由が分かったのは朝ごはんのあと。
その女性のお母さんらしい人が来た。
家族であれば面会時間14時〜20時以外でも基本的にOK

女性とお母さんの話し声が聞こえてくる。
避難所、家族、津波、地震…。

後々お話しを伺い知ったのだが、
浜町で被災し、弟さんご家族とお母さんと共に県内で避難。

その後も避難所を転々としたそうだ。
4月初旬、それまでいた避難所が閉鎖され、弟さんご家族と離れ離れ。
お母さんと一緒に早くから受け入れを申し出ていた病院のある地域の避難所へ。

震災でのストレスや疲労がたまり、3日まえ避難所で倒れ緊急搬送。
点滴で落ち着いてるようだが、極度の疲労とストレスで
身体中の痛みや眩暈がひどく起き上がれない様子。

本来、介助が必要な場合はナースステーション近くの病室なのだけど、
人の出入りが激しいので落ち着かない。

なので病院側の配慮で、少しでもゆっくり休めるようにと
この病室に移動になったそうだ。

午後になり彼が来てくれる。
昼食後に飲んだロキソニンは、まだ効いてこない。
痛みでベッドから出れない。
ゴロゴロしてるが、あっち向いても、こっち向いても痛い。

「大丈夫、大丈夫!」と
彼がマッサージしてくれる。
S先生の愚痴を聞いてくれる。

そんな優しい彼に、私でいいのか?
不安になりつい、
「健康な人が奥さんだったらいいな~とか思うでしょ?」
と聞いてしまう時がある。

彼は聞こえないふり。
「そう思ってるから答えないんだ」と憎まれ口、
「面白い奥さんで良かったよ」と彼は笑う。

そう言われると自信が持てて、
ちょっとホッとする。

同室になった福島の女性。
私は自分が辛いと思うのは、
甘えなんだな~と反省した。

 

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