子宮内膜症|私の症例

Q1. 当時何か症状はありましたか?
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A1. 特に症状はありませんでした。

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生理の周期は28日と規則正しい方でしたし、2~3日目の月経血量は多くはなりますが、
徐々に減りながら1週間前後で終わってました。
生理痛も殆どなく、生理時以外での痛みもありませんでした。
不正出血や異常出血などもなく、おりものも少ない方でした。

ただ同じ姿勢が続いた時などは腰痛にはなりましたが、
子宮内膜症の自覚症状だとは思ってもみませんでした。

 

Q2. 当時、妊娠や出産、婦人科の受診経験はありましたか?
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A2. 妊娠、出産の経験はありませんでした。

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婦人科の受診は、25才の時に右胸に強い痛みを感じて不安になり、
近くのクリニックで診てもらい、問診と触診の結果、
「あなたのように若くて未婚の人はそんなに心配しなくて大丈夫です」という先生の言葉を
「そうなんだ!妊娠の経験がなければそんなに心配しなくてもいいんだ」と自分勝手に、
とんでもなく間違った解釈をしてしまいました。

内診台に上がる場面を想像すると抵抗があったのも事実で、
それ以降きちんと婦人科の受診は受けていませんでした。

 

Q3. 何がきっかけで子宮内膜症だと分ったのですか?どんな検査をしましたか?
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A3. きっかけは突然襲った下腹部の激痛でした。

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「あれちょっと太ったかな?」と、なんとなく丸みを増してきた下腹部をさすりながら思っていましたが、
痛みや違和感などは全くなく生理も順調だったので、気にせずに1ヶ月ほど経ったある日。 
突然下腹部に激痛を感じ、立っていられずその場にうずくまってしまいました。

お腹のはりも増して胃が圧迫される不快感と今まで経験した事のない激痛。
咄嗟に「盲腸だ!」と思ってました。

緊急で受診した病院で問診と内診、超音波検査、血液検査の腫瘍マーカーCA125の値で
卵巣チョコレート嚢腫(のうしゅ)だと診断され、すぐ手術することになりました。

 

Q4. 最初に、どのような治療を受けましたか?
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A4. エタノール(アルコール)固定術という治療方法です。

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超音波検査で左の卵巣にチョコレート嚢胞(のうほう)があり、かなり腫れていて、
破裂の可能性があり早急な治療が必要だったこと。

血液検査の結果、再生不良性貧血の再発も発覚し貧血症状が重症化。
特に血小板という止血に必要な数値が低く手術では出血時の止血が出来ず、
危険を伴なう状態だったことがあり、産婦人科と血液内科の医師の話し合いの下で、
最も身体への負担が少なく、子宮内膜症の治療効果が望める方法として、
エタノール(アルコール)固定術という治療方法が選択されました。

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エタノール固定術
とは軽い麻酔下で、卵巣に針を刺し溜まってしまった古い血液を吸引します。
その後、嚢胞(のうほう)内を生理食塩水で洗浄し、エタノールを注入して
15~30分そのままの状態で固定させます。
エタノールの持つ作用で嚢胞(のうほう)内の内膜症組織を固めて、
再発しないよう治療する方法です。
固定後、エタノールを取り除いて終わりです。

手術の一種ですが針の穿刺だけで行なわれるので身体への負担が少ない治療法です。

通常チョコレート嚢胞(のうほう)が直径5cm以上大きくなっている場合、
薬物療法の効果はほとんどの場合期待できませんので手術療法が必要になります。

ただ、いきなりメスを入れたり、お腹に穴をあけたりと、外科的な手術では不安や抵抗がある方や、
私のように、他の病気の併発で外科的手術の負担やリスクが大きな場合に
効果的な治療方法だと思います。

ただしデメリットもあります。再発率は30~40%です。

しかし、エタノール固定を2~3回繰り返すことで、再発率も10~20%以下に低下します。

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私の場合、局部麻酔をして超音波エコーで確認しながらエタノール注入療法をしました。
手術台に寝て、足を開き固定、右腕には点滴、左手では看護婦さんが血圧をチェック。

消毒の時ヒヤッとして思わず声が出そうになるのを我慢しましたが、
その後の局部麻酔の痛さには「痛いッ」と言葉に出てしまいました。

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穿刺用の針を刺すときは殆ど痛みを感じませんでした。
手術中は意識はあるので先生や看護婦さんの会話は全て聞こえます。
よーく見ると天井の手術室ライトに、私の足元近くで大勢の人が一点に集中している光景が映ってます。
下半身スッポンポンで手足を固定され身動きの取れない状況。
治療だと思っても恥ずかしさが込み上げます。

そんな時、血圧を測っていた看護婦さんが、「大丈夫ですよ」と言い手を握ってくれました。
すっと気持ちが楽になりまりました。

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針を刺し古い血液を吸引する時なかなか吸引できず先生も戸惑っていました。
先生が頑張って更に吸引する力を入れると痛みではなく、お腹の中が引っ張られる、
なんとも言えない違和感を感じます。
ようやく吸引され始めた血液を見て、「これは凄い!なかなか吸引できないわけよね」と先生が言うと、
周りにいた他の医師や看護婦さんからも「おぉー」というどよめきがあがりました。
血液があまりにも古く凄い粘着力だったようです。
私の場合は嚢胞(のうほう)も大きく(8cm以上)なっていて、
量も多く採取自体で通常の2~3倍くらいの時間がかかってしまいました。

古い血液の吸引が終わると、次は生理食塩水で2~3回、嚢胞(のうほう)内を洗浄します。
この時は、痛みや違和感など殆どないです。

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さていよいよ、エタノール(アルコール)での固定です。
吸引した血液の8割相当のエタノールを嚢胞(のうほう)内に入れます。
先ほどの生理食塩水のときは全く大丈夫だったので、その延長くらいの感じで余裕でした。
が次の瞬間、焼けるような痛みで、「痛い痛い痛いー」と叫んでました。
「大丈夫!大丈夫!効いてる証拠だからね」と、看護婦さんは握った手に力を入れて励ましてくれます。
「アルコールで悪いところを焼いてるんだ。なるほど」と、
痛みの中で変に自分を納得させていたのを覚えてます。

そのままの状態で20分ジーッとしてなくてはならないのですが長かった。
痛みの波が引いては寄せての繰り返しでした。

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時間になったら後はエタノールを抜いて、針を抜きます。この時は痛みはありませんでした。
「終わった」ようやく安堵した次の瞬間、尿道への管を入れる処置が始まり再び激痛で叫んでました。

ここまで「痛い」を連発してしまうと不安になられる方もいらっしゃると思いますが、
あくまでも私の場合なので、個人差はあります。
外来で麻酔なしでも行なわれる場合もあるそうですし、
軽い麻酔で全く痛みを感じなかったという方も大勢いらっしゃいます。

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私の場合は貧血症状が最悪である状態での緊急手術だったので、
なるべく身体に負担がかからない局部麻酔が選択されました。
もし痛みが不安であるような方は、医師に麻酔の種類などを相談してみると良いと思います。

早い人では30分ほどで終わるようですが、私の場合はトータルで1時間30分くらいかかりました。
その後、点滴をしつつストレッチャーで病室に運ばれ、安堵と疲れから爆睡しました。
術後、母が嚢胞(のうほう)内から吸引したボール一杯の古い血液を見せてもらったのですが、
「ほんとうに溶けたチョコレートのようだった」と、言ってました。

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余談ですが、私が当時入っていた生命保険では、
エタノール固定術は開腹ではないとの理由で保険対象外でした。
「え?なぜ?手術の同意書も書いたのに・・・」と唖然としましたが、
細かい規約等をきちんと読んで理解してなかった私が悪いのです。
その後、保険を変更する時にも、その点には注意をして選びましたので、
良い勉強になったと思うことにしています。

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今は医療の進歩により治療方法の選択肢も増えてます。
治療を選択する際に、一度ご自分の入られてる保険内容を、ご確認されると良いかもしれませんね。

 

Q5. その後の治療については?再発については?
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A5. 結論からお話しますと、再発してしまいました。

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ただ最初にエタノール(アルコール)固定術を受けてから約20年間、
一切の手術はせず薬物療法のみで抑制し、進行を防げています。
術後の癒着による痛みが酷かったのですが、
自分にあった漢方や食生活を中心とした生活改善により、
鎮痛剤を服用することなく、痛みとは無縁の生活を送っています。

28歳の時に、腹痛による緊急搬送で子宮内膜症チョコレート嚢胞(のうほう)と診断。
その日のうちに、エタノール(アルコール)固定術を受ける。

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術後の治療として、偽閉経療法であるスプレキュアという薬品の皮下注射
(4週に1回、1回が3割負担で約12000円弱)を6回お腹に注射しました。
注射の痛みより、刺す時に思いきりお腹をつままれるのが痛かった。

スプレキュア注射1回目では完全に生理は止まらず、前回の生理から28日目に生理になりましたが、
通常の半分の日数の3日程、全体量も半分くらいでした。
2回目以降の注射で生理は完全に止まりました。

約6ヶ月かけて偽閉経療法を行なった結果、内膜症の病状が軽減し左卵巣内に出来てしまった
チョコレート嚢胞(のうほう)も、診断時8cm以上あったのが3㎝くらいまで小さくなりました。

ただ、注射を始めて10週目くらいから更年期障害のような症状、
ホットフラッシュや関節のこわばり、発汗などの副作用が強くでました。
副作用は注射を止めてからも数ヶ月は継続しました。

そして最後のスプレキュア注射をしてから6ヶ月後、エタノール固定術から1年後に再発してしまいました。

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再発後はダナゾール療法のボンゾールという薬で内膜症の増殖、進行を抑えています。
服用ではなく膣剤として使用しているため、ボンゾールでの副作用は殆どありません。
チョコレート嚢胞(のうほう)の大きさも3~4㎝を維持しています。
あまりに落ち着いてるので「治ったのではないか?」と思ってしまうくらいです。

実は1年近く使用を中断した時があったのですが、病状が悪化し、
再度、3ヶ月ほどスプレキュア注射で内膜症の病状を抑えてから、ボンゾールで安定させました。

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治ったように思えても薬で症状を抑えられてたわけで、病気は正直だなと実感しました。
それ以後、改めて病気ときちんと向き合い、閉経まで上手に付き合っていこうと思いました。

私の場合、信頼できる医師に出会え、自分に合った治療方法で、
20年間近く上手に子宮内膜症と付き合ってこれたと思います。

女性にとって子宮内膜症は人生の大半を共に過ごさなければならない病気かもしれません
なので、どうか信頼できる医師のもとで自分に合った治療を行ないながら
ライフスタイルも充実させて、上手に子宮内膜症と付き合っていきましょう!

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私も、もう少し子宮内膜症とのお付き合いが続きそうです。
皆さんと一緒に頑張ります!

卵巣チョコレート嚢腫(のうしゅ)発覚時からの詳しい状況や
医師との関係、治療・入院生活については闘病記でお話しています。
私の病活(闘病・病気生活)が少しでも、ご参考になれば嬉しいです。