12章|C型肝炎治療の決意
決意 2010年夏
29歳で再生不良性貧血が再発し入院。
退院後は月一のペースで経過観察。
C型肝炎が発症していると知ったのもその時。
治療方法が確立されていなかった事もあり
以後、血液内科の受診時に肝炎の経過観察も行なっていた。
私は幼い時より、ずっと病気と共に生きてきた。
なので病気の恐さは十分知っていたつもりだった。
でもどこか病気に対して
消極的だったのも事実。
定期的に院内紹介にて消化器内科の医師を受診してた際にも、
「では引き続き経過観察しましょう」との言葉に安心し、
それ以上の事を考えることは当時の私にはなかった。
幼い頃、自分の病気を知りたいという思いから、
家にある家庭の医学という本を手にした。
開いたページには難しい言葉が一杯。
何を言ってるのかあまり分らなかった私にも
死・・・という言葉だけは消そうとしても消えない記憶となった。
病気の事を知りたいという気持ちと、知ってしまった時の恐さ。
病気に対して頑張って闘いたいという気持ちがある。
でもこれまでの治療での副作用や合併症・・・直面した死の恐怖。
得られるものと失うものを秤にかけながら生きてきた人生。
病気を治したい気持ちと、全て失うかもしれない不安。
再発後の私は再び襲いかかる恐怖に怯えながら、
大丈夫・・・大丈夫・・・と自身に言い聞かせ、
上手く病気と付き合っていくことだけを考えていたかもしれない。
そんなある日、母がインターフェロン治療の話をしだした。
インターフェロン・・・
C型慢性肝炎を長引かせた場合、
重篤な病気に進行する可能性が高いという情報は否応うでも
私にも入ってきていたので、治療が可能であればという気持ちはあった。
でも発覚当時、再生不良性貧血も患っている私に治療の選択肢はなかった。
それが最近になり報道でC型肝炎について耳にする事が多くなったと感じていた時のこと。
「もしかしたら肝炎を治せるかもしれないよ」
母はどこか嬉しそうに何度も読み返したのだろう
ところどころクタクタになった一冊の小冊子を見せてくれた。
『C型慢性肝炎 Q&A 患者さんの疑問に答える』
病気の恐怖に怯えているのは私以上に家族なのかもしれない。
自分のためにも、そして家族のためにも、肝炎の治療を決意した。